表題番号:2020C-348 日付:2021/11/23
研究課題原爆の国際管理体制の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 有馬 哲夫
研究成果概要

2021年10月30日から同年11月5日までスイスのチューリッヒ連邦工科大学アルバート・アインシュタイン・アーカイヴズでアインシュタインの書簡などを検索、資料収集した。

今回の発見はウォルフガング・パウリとの間に交わされた書簡で、これはWolfgang Pauli (1900–1958)の中にある。パウリは、アインシュタインと同じくユダヤ人で、チューリッヒ連邦工科大学、プリンストン大学で教授になったことからもわかるように、キャリアの上で重なる部分があり、アインシュタインに信頼されていた。

そのパウリが19469月19日付けでアインシュタインに手紙を書いており、そこには以後(1946年から)5年間はアメリカ軍当局が物理学の分野で次第に介入を強めるだろうと記されている。アインシュタインもまた、アメリカ軍当局が原爆製造のノウハウを独占し、かつその独占を守るために、物理学者の研究に介入していたことが窺われる。

前述のボーアと原爆の国際管理を唱えたのも、アメリカ軍当局による原爆の独占と、それを守るための物理学への介入を恐れていたことが推断される。