表題番号:2020C-156 日付:2021/04/21
研究課題西洋中世スコラにおける政治と道徳の視点
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 辻内 宣博
研究成果概要

倫理・道徳と政治・法との関係について,「すべての徳の基底となる法の正義」という観点から,トマス・アクィナスとジャン・ビュリダンの理論を比較検討した。その結果,両者の考える「法の正義」は,同じアリストテレスを土台としながらも,かなり異なる相貌を呈することが明らかとなった。アクィナスの場合,神の永遠法から人間の自然法や人定法に至るまで,徹底的に一貫して,「合理性」が要求され,その延長線上に,諸々の徳が位置づけられる。他方,ビュリダンの場合,現実社会で生きる人々の「円滑な人間関係やコミュニケーション」を基底とし,他人を配慮する段階で法の正義が,そして,その実践のなかに諸々の徳が,規定される。