表題番号:2020C-128 日付:2022/11/12
研究課題帳簿に基づく日本中世荘園制成立史の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 高木 徳郎
研究成果概要
 日本中世において基盤的な社会システムをなす荘園制は、荘園領主と現地で経営の実務を担っていた荘官との間で、膨大な数の帳簿をやり取りすることで成り立っていた。しかし、現在残されているそうした帳簿の多くは、荘園領主側に残されたもので、荘園の現地に残された帳簿史料から、例えば年貢の収取などの現場において、住民と荘園代官との間で、具体的にどのようなやり取りが行われていたのかを復元することはきわめて困難であった。
 本研究では、紀伊国和太荘の荘官(公文)を務めた林家に残され、近年その利用が可能となった林家文書の翻刻に取り組み、異種類の帳簿の関係構造を解明することにより、中世後期荘園における年貢収納の実態の一端を解明した。