表題番号:2020C-112 日付:2021/03/25
研究課題アメリカにおける経験主義教育の継承と発展にみるプラグマティズムと実存主義の再統合
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 佐藤 隆之
研究成果概要
アメリカの教育哲学者マキシン・グリーン(Maxine Greene, 1917-2014)が説く「可能性」の教育という理念について、プラグマティズムと実存主義(existentialism)を結びつけながらアートとしての文学と融合させた、独自の教育哲学に注目して再検討した。グリーンにおいて「可能性」は、「苦難」でありながら、あるいは「苦難」であることによって「可能性」である、といいうるような逆説的な関係に置かれている。その関係性を解明することで、グリーンの教育理念を、「苦難」と「可能性」を反転させながら連続的に展開させうる主体の教育をめざす「苦難/可能性」として再提起した。グリーンは、とりわけその芸術教育や美的教育が日本でも知られており、その中核概念である想像力、自由、対話などに着目した研究がある。グリーン研究が日本においても進められているなか、本研究は、芸術・美的教育に特化することなく、グリーンがめざす教育理念を考察の対象とする。そもそもグリーンはどのような教育を志向し、それにはどのような特質が認められるのかを検討した。