表題番号:2020C-098 日付:2021/11/14
研究課題長崎のかくれキリシタンの信仰具の調査―貝を中心に
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 児嶋 由枝
研究成果概要

生月、平戸、そして五島列島など長崎各地には各種のかくれキリシタン信仰具が伝わっている。2020年度は本来であれば、特に貝を用いた信仰具を中心に現地調査を進める予定であったが、新型コロナ感染拡大のため実施が叶わなかった。その代わりとして、生月に数多く伝わっている聖画「お掛け絵」に関して、特に貝を暗示させる造形に注目して研究を進めた。そして、従来考えられていたような土着の信仰や風習に拠るものとは言えないことが明らかとなった。そもそも、「お掛け絵」に見られる西欧対抗宗教改革期における聖像の基本的要素、造形的には根本的な改変を被っているとは言い難いのである。貝は元来「海の星」とされる聖母マリアと関係が深く、特に真珠貝はマリアの処女性と関連付けられてきているのである。ただ、「お掛け絵」を繰り返し描き直すことにより、こうした本来の宗教的意味は失われ、貝と関連するモティーフという造形のみが信仰と結びついて残存したのである。