表題番号:2020C-094 日付:2021/03/05
研究課題20世紀フランス小説における植民地と戦争の記憶の再編成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 講師 佐々木 匠
研究成果概要

本研究は、20世紀のフランス文学において、植民地や第二次世界大戦が、どのようにして小説内に再現されているかを示すことを目指した。とりわけ、第二次世界大戦の寓話として書かれたアルベール・カミュの作品に焦点を当て、『ペスト』において、カミュがナチスによるフランス占領や、カミュ自身のレジスタンス活動を、病との闘いというまったく異なる物語に移し替えたのかを考察し、同時代の作家たちとの小説との比較分析も行った。また、カミュ作品に出てくる登場人物たちの多くが言葉や声による対話に失敗していることに注目し、彼らが新たな意思伝達手段として「視線」を用いようとしていることと、その意義について考察した。