表題番号:2020C-085 日付:2021/02/06
研究課題「古典中国」における物語の展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 渡邉 義浩
研究成果概要
「古典中国」において、思想は、その普及のために物語を必要とした。いわゆる諸子百家たちは、君主にみずからの思想を伝えるために物語を用意した。矛盾などで知られる『韓非子』の寓話も、儒家の物語の矛盾を暴き、法家の優位性を主張するものであった。それらの物語は、やがて、『左氏春秋』『国語』『戦国策』などにまとめられていくが、このうち『左氏春秋』が、儒家の経典である『春秋』の伝(解釈書)に加工され、『春秋左氏伝』が形成され、司馬遷や杜預から歴史の祖と仰がれることにより、物語はやがて否定し得ない史へと変容していく。本研究は、物語の展開の具体的な事例として、『春秋左氏伝』などの伝世資料のあり方を再検討した。