表題番号:2020C-048 日付:2021/02/26
研究課題特別刑法犯における故意の認識対象の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 小池 直希
研究成果概要
 本研究では、特別刑法犯にみられる、「数値」が構成要件化されている犯罪類型における故意の認識対象について検討を加えた。
 速度違反の罪のように、道交法や銃刀法などのなかには、規制の限界をなんらかの数値で規定している犯罪類型が数多くみられる。こうした数値は、記述的構成要件要素であるから、客観面においては厳密・正確に判断でき、規範的解釈の介在する余地はほとんどないが、主観面においては様相が異なる。すなわち、数値による規定は厳密・専門的であるがゆえに、かえって行為者に数値を数値として認識することを要求できない場合が多いのである。
 本研究における分析の結果、行為者に要求されるべき数値に対応する認識は、犯罪類型によって異なるべきとの結論を得たが、数値の認識を要する場合と要しない場合とを区別する理論的根拠については、さらなる検討を要する。
 本研究の成果は、今後、学内紀要等に論説の形で公表予定である。