表題番号:2020C-047 日付:2021/03/18
研究課題ドイツにおける客観的帰属論の現状とわが国の因果関係論への示唆
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 大関 龍一
研究成果概要
 現在の多数説である危険の現実化論との関係で十分議論されてこなかった、被害者の素因競合事例について、ドイツの客観的帰属論から示唆を得て、結果帰属判断の再構成を試みた。具体的には、わが国における裁判例が、危険を抽象的に把握することによって素因競合事例における結果帰属を広範に認めていることを指摘した上で、ドイツの判例にも同様の傾向が見られること、他方、ドイツの学説では素因のリスクは被害者が負担すべきとの考慮から結果帰属を否定する見解が有力であることを明らかにした。その上で、リスク負担の公平な分配という観点からわが国の判例を正当化する見解も踏まえて、素因競合事例における危険の把握方法に考察を加えた。