表題番号:2020C-040 日付:2021/04/09
研究課題労働者の個別意思による強行法規適用除外の可能性に関する日伊比較法研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 大木 正俊
研究成果概要
 本年度は、イタリア民法典2113条の位置づけおよび規定内容等に関する検討をおこなった。同条は、近年では労働者の権利を二元的に把握した上で、一次的権利(強行規範そのものから導かれる権利)、二次権利(強行規範違反の結果として生じる財産的権利)に分類し、後者についてのみ2113条が定めたものと位置づけられているようである。
 同条の法的根拠について、学説は労働者個人の保護に主眼をおいた主観説と労働者全体の保護に着目した客観説が提示されている。
 本条はまた、和解に関する民法典1695条との関連も指摘されている。本年度の研究では、同条に関する判例法理の検討にまでは至っておらず、残された課題となっている。