表題番号:2020C-036
日付:2021/05/18
研究課題環境損害及び原子力損害の責任システムとそのリスク抑止機能についての検討
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 大塚 直 |
- 研究成果概要
- 福島原発事故の国家賠償訴訟判決においては、国の賠償責任を肯定する裁判例と、否定する裁判例が分かれており、最近では仙台高裁が初めての高裁判決として、国の責任を肯定した(仙台高判令和2・9・30)。本研究では、国家賠償法1条の過失要件とリスク論との関係について検討し、国の責任を肯定する裁判例も否定する裁判例もいずれも、長期評価を、科学的知見として確立されていないとしつつ、無視できない知見として、事故の予見可能性を認めた点が、予防原則の考え方を過失の判断に導入したものといえること、裁判例の中には、損害の回避可能性があったかについて、原告の立証負担を軽減するものがあるが、そこに理論的な問題点があることを指摘した。