表題番号:2020C-006 日付:2021/04/02
研究課題違憲審査制の比較研究――熟議過程の洗練化の視点から
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 川岸 令和
研究成果概要

本研究では、討議され熟慮された意見が市民の間に広く共有され、それが共同の意思決定に活かされるようになる仕組みの一つとして違憲審査制に着目する。違憲審査制は、多数決主義的な政治過程の帰結を覆す作用を内包し、裁判所の違憲の判断に対する政治部門の対応を含めて、公共の意思決定全体をより分節的にする可能性を秘めている。それぞれの過程がその特徴を活かせば、公共の意思決定は総体としてそれだけより洗練されたものになりうる。世界的な広がりを見せる政治の裁判化傾向のなかで、今世紀になって少し積極化の兆しを示す日本の最高裁は、日本社会全体の熟議の過程を深化させる可能性を拓いている。