表題番号:2020C-005 日付:2023/11/09
研究課題NPM後行政改革日独比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 縣 公一郎
研究成果概要

 本研究は、新自由主義を基調として政府活動に業績評価の要素を取り入れようとするNPMNew Public management)の考え方に基づく行政改革(NPM改革)を考察し、その利点と問題点を考量した上で、NPMの後に到来した異なった方向性の行政改革(ポストNPM改革)を考察することを目的としている。その際、研究対象には、従来からの研究業績を基盤としつつ、日独比較を企図している。研究エポックとして、NPM改革は、1980年代中葉から2000年代初頭にかけて実施され、他方、ポストNPM改革は、2000年代中葉から現在にかけて着手されているものとして区別される。更に、行政改革の内容に関する区分を措定し、政府活動の範囲、つまり政府と市場の役割分担に関するマクロな改革視点、及び、政府の組織、人事、財政、情報、そしてそれを前提とする業績評価、つまり行政活動の業績評価に関するミクロな改革視点が弁別される。

 NPM改革とポストNPM改革という時期的な区分、そして改革内容のマクロとミクロな視点という区分を採用し、これらを日独両国に適用することにより、2の3乗である8つのブロックを想定して分析が可能と為る。まず、NPM改革の内容と評価として、NPMを前提とした行政改革が何故導入され、如何に進行し、如何なる意義を持ち、どのような問題点を負っているのか、という観点を考察する。そして、ポストNPM改革の経緯と展望に関し、NPM改革後の認識変化により、何故、如何なる行政改革の方向性が志向され、如何なる改革が構想され、着手されているのか、という観点が重要と為る。その上で、NPMの理念と行政改革の関係では、NPMの考え方が行政改革に対して如何なる意義を持ち得たのか、そしてそれが如何なる問題点を惹起し、それらが如何にして克服されようとしているのか、こうした今後の研究の方向性をほぼ確定することが出来た。その結果、科学研究費・基盤研究C として、『NPM・ポストNPM行政改革の日独比較研究』(20214 - 20243月)が採用された。加えて、この研究過程において、行政改革に関する下記2冊の翻訳書が刊行叶った。