表題番号:2019R-036 日付:2020/04/13
研究課題ゲノム編集システムを利用した高機能化クエン酸生産糸状菌の育種
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 桐村 光太郎
(連携研究者) 先進理工学部 教授 桐村光太郎
研究成果概要

 申請者らの研究室で使用している糸状菌WU-2223L株は、グルコース 120 g/Lからクエン酸63 g/Lを生産する。高クエン酸生産糸状菌として重要な菌株であり、当該菌株は従来の分類基準ではAspergillus niger(クロコウジカビ)と同定されている。しかし、A. niger 菌群(Aspergillus Section Nigri)は最近のゲノム情報に基づく分類では種が細分化されている。そこで、本研究ではWU-2223L株のドラフトゲノム(35 Mb)および全ミトコンドリアゲノム 32.6 kb を決定し、再同定を行った。WU-2223L株はA. nigerに極めて近縁だが異なる種であることが判明し(論文投稿準備中)、これはクエン酸生産糸状菌が純然たるA. nigerだけに局在するわけではないことを示した。一方、ゲノム情報から、WU-2223Lはオクラトキシンやフモニシンなどのマイコトキシンを非生産であることが判明し、これは実用的には極めて優位な性質である(論文投稿準備中)。さらに、新規なゲノム編集システムを確立し、WU-2223L株の効率的なゲノム改変(遺伝子ノックアウトやノックイン)を可能にした(論文投稿準備中)。本研究を通じて、ゲノム編集システムを利用した高機能化クエン酸生産糸状菌の育種に道筋を付けた。