表題番号:2019Q-053
日付:2020/04/10
研究課題電子線で回転するソフトクリスタル:構造とメカニズム
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 多辺 由佳 |
- 研究成果概要
- 鏡面対称性が破れた構造を持つソフトマターは、線形流によって分子の受けたトルクを集団運動に変換し、一方向に回転することが可能である。近年、これを用いたソフトマシーンを作ろうという試みが行われており、特に、トルクを生み出すエネルギー源として、温度勾配(熱流)が注目されている。我々が見出した、電子線で一方向回転するソフトクリスタルにおいても、電子線によって試料内に生じた温度勾配が回転を駆動する可能性が指摘されていることから、本研究では、同じ対称性を持つコレステリック液晶滴に温度勾配を印加し、回転を調べた。温度勾配下のコレステリック滴は顕微鏡下でテクスチュアの一方向回転を示すが、これが配向回転によるものか剛体回転によるものかは区別できない。そこで試料にマイクロ粒子を分散させ、滴表面に吸着した粒子が滴中心のまわりを公転することを観測し、剛体回転の証拠を得た。さらに、滴中心に対して公転する粒子をピン止めすると、逆に滴が粒子を中心に公転すること、また2つの滴を粒子でつなぐと粒子を中心に2つの滴が公転すること、を示すことができた。