表題番号:2019Q-052 日付:2020/06/22
研究課題腎臓を模倣した膜晶析装置を用いた尿路結石の発生機構および抑制機構の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 講師 小堀 深
研究成果概要
 本研究は,尿路結石発生のメカニズムを結晶学的アプローチにより探求することを目的とした。まず,腎臓での晶析現象をモデル化するために,膜濃縮晶析装置を応用した。シュウ酸水溶液を膜濃縮したところ,膜面上に結晶を得た。析出した結晶のXRDスペクトルから,シュウ酸カルシウム一水和物と三水和物が析出していることが分かり,一水和物が安定形だと考えられた。次に,マグネシウムイオンのみを添加した系では,一水和物結晶と二水和物結晶が析出した。マグネシウムイオンとクエン酸添加系では,二水和物結晶が優先的に析出した。以上より,シュウ酸カルシウム結晶の生体内での形成を再現できるとともに,共存物質は不安定系の二水和物を優先的に作ることが分かった。これらの知見を基に,尿路結石の核生成機序の解明にもつがることが期待される。