表題番号:2019Q-037 日付:2020/04/06
研究課題成長期男女サッカー選手の成熟度を考慮した運動能力発達と成熟度簡易評価指標の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 広瀬 統一
研究成果概要

本研究は成長期男女サッカー選手を対象とし、成熟度を考慮した運動能力発達の特徴を明らかにすることと、それをスポーツ現場においても簡便に行えるための成熟度評価指標の開発を目的としている。これまでに、小学生および中学生のサッカー選手を対象として研究を行い、スピードや筋力が成熟度の遅速の影響を受けること、そして両者の関係は成熟が早いことによる形態的な特徴、すなわち除脂肪体重の増大が直接的に影響していることを明らかにした。(本研究の一部はJournal of Strength and Conditioning Research, 34 (2), 2020, P382-388.に掲載)

一方で、トレーニング介入による変化をみると、身長が急激に伸びる時期(PHVA)の1.5年前と1.5年後までの選手を対象に筋力向上を目的とした介入研究結果(股関節伸展運動)では、両者ともに筋力が向上し、対象とした範囲に限った場合には、必ずしも成熟の遅速が介入による筋力の増大に影響しない可能性が示された。しかしながら、PHVA後の選手の筋厚が増加するなど、影響がみられる項目もあり、継続した調査が必要であると考えられた。

上記の成果から、成長期サッカー選手の育成現場において子どもの成熟度の遅速を把握することは、トレーニング効果を最大化するためには必要であることが推察された。これを受けて、子どもの形態変化からPHVAを推測する予測式の開発を進めており、データ収集までが一部終了している。今後、予測式の開発と一般化するためのシステムの構築を目指す。