表題番号:2019Q-009 日付:2020/04/01
研究課題「歴史・時代小説ブーム」の戦後精神史(二大作家の比較研究による)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 高橋 敏夫
研究成果概要
本研究は、 日本近代における「歴史小説・時代小説」の生成と展開の研究により、従来の「歴史小説・時代小説」観を、その内部の諸問題(1913年誕生問題、「刀狩り」以来のチャンバラ願望説、歴史小説・時代小説の差異と協同問題、「時代小説と転向」問題)を浮かび上がらせつつ再検討し、新たな「歴史小説・時代小説」観を提示し、永らく「純文学」(圧倒的優位)と「大衆文学」(圧倒的劣位)とに分けて語られてきた「日本近代文学史」を総合的に再構築するための道筋を明らかにする試みである。本年度は特に、1913年誕生問題を中心に、従来顕在化しなかった「歴史時代小説という問い」について、歴史的に形成されてきた常識の転倒という視点から捉え直す作業をおこなった。