表題番号:2019Q-001 日付:2023/11/09
研究課題行政学説史の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 縣 公一郎
研究成果概要

 本研究は、科学研究費・基盤研究Bとして、20164月 から20193月までに展開した『行政学説史の研究』の研究成果の一部として、下記に掲げる書籍を2020年に刊行するための最終段階と為る活動であった。日本の行政学は、一木喜徳郎、有賀長雄、蝋山政道、辻清明、田村徳治、長浜政寿、吉富重夫、足立忠雄、吉村正、こうした第一世代の泰斗によって構築された。当該科研費の研究活動では、日本行政学の第二世代の泰斗である片岡寛光、村松岐夫、大森彌、中邨章、今村都南雄、水谷三公、水口憲人、橋本信之、森田朗、各名誉教授9名の方々に各ご講演を願い、その内容をオーラルヒストリーとして纏めた。これらのご講演は、出雲明子、稲継裕昭、伊藤正次、大西裕、大山耕輔、牧原出、松田憲忠、そして山谷清志、こうした8名の研究分担者との密接な協力の下に、引き出された。

 その際の共通論点としては、学問を志した契機と経緯、研究における方法論と重点、研究者としての社会的貢献、教育者としての見解、そして日本における行政学の今後、以上の5点を採り上げた。各ご講演者によって、以上5点への言及の程度には相違が生じたものの、日本の行政学がどのようにして発展してきたのか、学界を牽引された9名の方々が、何故行政学を選び、先達から如何なる教えを受け、如何なる問題意識を抱き、実際の行政に如何に関与したのか、こうした事柄を、各オーラルヒストリーとして集成することが叶った。これらの事柄は、日本における行政学の内容的・方法論的な特性とその背景、学問としての行政学が実践としての行政に対し為し得た貢献の内容と経緯、今後の行政学が取り上げて議論すべき論点、そして今後の行政学と行政の実際とあるべき関係、こうした論点を更に考察する上で重要な観点と為るであろう。本研究成果が、そうした考察のための基盤の一つと為り得ることを祈念している。