表題番号:2019E-121 日付:2020/03/24
研究課題大学卒業にともなう地域移動の国際比較研究―データインフラ・政策・分析方法を中心に
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学総合研究センター 助手 遠藤 健
研究成果概要

本研究は、文献調査と海外における当該分野の状況に詳しい機関・人物に対するヒアリングを通じて、大学卒業にともなう地域移動研究の国際的な動向を整理した上で、日本における大卒後の地域移動研究の課題を明らかにすることを目的とした。調査方法としては、(1)文献調査と、(2)国際学会参加を通した情報収集を中心に行った。

 調査の結果、明らかになったのはおもに以下の3点である。まず、第1に、日本に比べ海外では、大卒後の移動を把握できるデータインフラが充実している。たとえば、オランダでは納税記録をもとにした居住(移動)履歴と、職業や所得等の情報が一括して得られる場合もある。第2に、政策的な関心事項として移動が扱われている。たとえば、オーストラリアでは、移民である中華系あるいはインド系と非移民者間の格差問題や留学生の就職のミスマッチが問題とされている。第3に、分析方法という点では、国家間の移動に関心が寄せられており、人種や言語、ジェンダーをベースとしながら、移住研究と労働経済の側面から特に研究されている。

 これらは、日本国内の研究を進めていく上で、大変参考になるとともに、何らかの形でまとめておく必要性を感じた次第であり、引き続き基礎研究を行いたい。