表題番号:2019E-095 日付:2020/03/23
研究課題事態把握における日本語の主観性について-てくるを中心に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 日本語教育研究センター 講師 鄭 在喜
研究成果概要
本研究では、事態把握(construal)に関する日本語の主観性について「-てくる」を中心に考察した。調査対象者は日本語母語話者男女15名で、漫画の内容をストーリー構築法を参考に文字で記述してもらい、言語化されるモノ·コトを動作の「受け手」と、事態把握が読み取れる「言語表現」に分けて分析を行った。その結果、日本語では「-てくる」を用いることによって話者の主観性が現れ、事態への直接関与が窺われた。とりわけ、新たな人物が登場する際に「入ってきた」と「-てくる」を用いることによって求心的方向性を表していることが見られた。こうように補助動詞的な「-てくる」には、当事者との関わりが顕著に表れていることが分かった。