表題番号:2019E-067 日付:2020/04/09
研究課題テロ等準備罪の解釈論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 先端社会科学研究所 助教 伊藤 嘉亮
研究成果概要
組織的犯罪集団による犯罪の計画・準備それ自体を処罰するテロ等準備罪(組織的犯罪処罰法6条の2)は、従来の犯罪類型に比べ、処罰の著しい早期化を可能にするものである。人権侵害のリスクが他罪より高いテロ等準備罪の成立を合理的な範囲に限定するためには、まず、その処罰根拠を見定める必要がある。そのために、本研究では、アメリカの共謀罪やドイツの重罪謀議罪における議論を参照した。そこでは、複数人が組織的に犯罪を計画する場合の特殊な相互作用(例えば、集団力学に基づく構成員の相互拘束)、および、それに基づく――単独犯の場合には見られない――固有の危険の創出に着目した議論が展開されている。こうした議論は我が国にも導入可能であり、テロ等準備罪を適切に解釈するための出発点になる。