表題番号:2019E-033 日付:2020/03/24
研究課題健康寿命と要介護者数の将来推計 ―信頼度の高い推計手法の提案―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 大学院会計研究科 教授 大塚 忠義
研究成果概要

 超高齢化社会の到来とそれに伴う定年退職後の生活年数の延伸という未経験の社会構造の変化に直面するなか、高齢期に生活維持困難な状態に陥る世帯の割合を把握することは、生活保護費用などの社会保障財源確保の観点からも重要である。

  本研究は現役世帯の世帯主が70歳、80歳、90歳を迎えたときの資産額を就業形態別にシミュレーションし、資産が生存中に枯渇する蓋然性を算定することを目的とする。資産が生存中に枯渇する蓋然性を示す指標として資産余命および貯蓄ゼロ世帯割合という概念を提示する。

  その結果、貯蓄ゼロとなる世帯は80歳、90歳時点で全就業形態世帯の2割弱と推計される。いいかえると、8割の就業形態の世帯は貯蓄ゼロにはならず、資産を次世代に相続している。一方で、貯蓄ゼロとなる世帯については、資産余命は平均余命より16年~29年と大幅に短いことが見込まれる。