表題番号:2019E-028 日付:2020/04/10
研究課題支配関係の不在が有する分配上の合意の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 宮本 雅也
研究成果概要
 社会正義論における関係論的平等主義との関連という点から、支配の不在としての自由の構想を検討した。この自由の構想は、「支配」関係の不在、すなわち他者の恣意的な干渉にさらされる可能性がないことを自由とみなす。この構想の代表的理論家であるP. ペティットは二つの異なる方向からの批判にさらされている。第一に、純粋な消極的自由論者からの批判が存在し、第二に、支配の不在としての自由に社会構造の観点を組み込もうとする理論家からの批判が存在する。支配の不在としての自由の構想がこれらの批判を免れるためには、ペティットのような帰結主義の枠組みからこの構想を切り離し、契約主義の枠組みに位置づけなおす必要がある。