表題番号:2019C-733 日付:2020/02/19
研究課題翻訳理論と邦訳分析:オスカー・ワイルドの『真面目が肝心』の場合
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 三神 弘子
(連携研究者) Trinity College Dublin Associate Professor Hadley, James
研究成果概要

 本研究は、Koskinen/Palposkiによる仮説(2003)[ある一つの文学テキストが、時代を経て複数回にわたって特定の言語に翻訳された場合、翻訳は次第にオリジナルテキストに近づいていく]を指標とし、文化的共通性が希薄である二つの文化環境において、この仮説を適用できるか検証し、再翻訳の機能と重要性を明らかにすることを目的としている。ワイルドのThe Importance of Being Earnest (1895)日本語訳から、谷崎訳(1920)、岸本訳(1954)、西村訳(1981)をとりあげ、デジタル・ヒューマニティーズの手法で分析を行った。慣用句、語彙、誤解といった点から見た定性分析では、仮説を支持する側面が僅かではあるが見いだせたが、全体として仮説を支持する顕著な結果は見ることはできなかった。文学作品を日本語で再翻訳する場合、仮説を顕著に支持することができない理由については今後の課題としたい。