表題番号:2019C-690
日付:2024/09/17
研究課題対流抑制と誤差低減による高精度ソーレ係数測定
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 鈴木 進補 |
(連携研究者) | 基幹理工学研究科 | 修士課程学生 | 折笠勇 |
(連携研究者) | 基幹理工学研究科 | 修士課程学生 | 富永晃司 |
- 研究成果概要
本研究では,Soret係数測定の高精度化に向けて本手法の誤差要因の特定,定量化を行い,抑制および補正方法を確立することを目的とし,容器内の水―エタンオール混合溶液試料についての熱流体解析と粒子画像流速測定法(PIV)計測を行った.実験では,試料容器に,高さH = 3×10-3 m,幅W= 5×10-3 m,奥行d=0.25×10-3 mとし,水-40%エタノールを充填し,上部を下部より3~5 K高くし,温度差を与え,ラテックスビーズをトレーサー粒子としてPIV計測を行った.
この結果から,Soret係数測定誤差と鉛直薄型容器内の浮力対流速度場との関係を以下の知見を得た.鉛直薄型容器内部の高さH [m],幅W [m],奥行d [m]の矩形空隙に上部高温の鉛直温度差∆Tve [K]で保持された動粘度ν [m2∙s-1]をもつ混合溶液によるSoret係数測定において,定常状態の浮力対流平均速度Vm [m∙s-1]はSoret効果による濃度差が大きい溶液系ほど許容される.無浮力対流時の理論値に対する濃度差比から推定されるSoret係数の測定誤差δSTは,無次元速度Re = VmLchν-1と無次元濃度差ST∆Tveとの比log10(Re(ST∙∆Tve)-1)の減少に伴い例えば6次多項式に従い単調減少する.代表長Lchは矩形空隙の体積-表面積比Lch = W∙H∙d/2(d∙W+W∙H+H∙d) [m]である.したがって,Soret係数を誤差δSTで測定するために,溶液系の浮力対流は6次多項式を満たす速度まで抑制すればよい.