本研究は、台湾の住民自治組織である社区発展協会（以下、協会）の活動実態を明らかにすることを通じて、協会が住民主体の地域づくりにおいて果たしている役割を考察することを試みるものである。方法は、文書資料分析と　台北市2ヶ所の協会理事長への聞き取りとした。

　　研究の結果、協会設置の歴史的背景、組織の他、高齢者の健康維持や環境保全、子どもの教育などの公共課題への取り組みを、行政や企業の補助金により実施していることが明らかとなった。現時点では、協会は住民の主体性育成というより、公共課題を基礎に住民に福祉や教育を提供する場であるといえる。今後、住民の取り組みへの参加実態を見ていくことが課題として残された。