表題番号:2019C-498 日付:2020/04/10
研究課題第一次大戦終結時における個人責任論の展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 大学院法務研究科 教授 古谷 修一
研究成果概要
 現代国際法を特徴づける原理として、著しい人権侵害や国際社会の秩序を破壊する行為について、当該行為の計画・命令した者に対する個人責任の原則が挙げられる。こうした個人責任論の直接的な淵源は、第二次大戦後のニュルンベルグ裁判・東京裁判に求められるが、すでに第一次大戦終結時には、こうした個人責任論の萌芽が見られる。本研究では、ドイツ皇帝ウィルヘルム二世が戦争を開始した責任を問われ、特別裁判所の設置を規定したヴェルサイユ講和条約227条の起草に至る外交交渉と当時の国際法学者の見解を検討し、ドイツ皇帝の責任が国家を体現する元首としての責任論であり、国家責任と個人責任が十分に峻別されていない点を解明した。