表題番号:2019C-490 日付:2020/01/23
研究課題日本仏教思想と新たな相互扶助社会の理論―法然・親鸞・一遍から現代へ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 守中 高明
研究成果概要
  経済格差が顕著となり社会的弱者のためのセーフティ・ネットが機能不全に陥っている現代日本社会において、社会福祉制度の欠陥を補うオルタナティヴをいかにして構築すべきか。
  中世日本仏教の異才・一遍は「踊り念仏」を展開しつつ各所で炊き出しや食料の配布などの施しを行なった。その特徴は(1)純粋贈与としての施し (2)施しの連鎖 (3)施しの連鎖が可能にする構成員の社会的属性を問わない集団の編成である。 
 人間的倫理のみを根拠とするがゆえに脆弱であるかに思われるこの相互扶助のネットワークは、しかし、きわめて強靭な力を発揮した――自律的で可動的なこの社会関係の実効性は、現代においてこそ試されるべきである。