表題番号:2019C-488 日付:2021/04/04
研究課題市場の統治をめぐる理論的・思想史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 齋藤 純一
研究成果概要
市場の統治をめぐる諸問題について主に政治理論の面からいくつかの検討をおこなった。より具体的には、1)ジョン・ロールズによる"welfare state capitalism"に対する批判および"property owning democracy"の構想とそれをめぐる近年の研究の検討、2)「再分配」と対比される「当初分配」(pre-distribution)に関する議論の検討、3)企業ガバナンスに関する「ステークホルダー・デモクラシー」論の検討、4)「私的統治」における支配‐被支配の問題についての検討をおこなった。全体としては、時間・空間的に「内部最適化」をはかる「合理性」が、その合理的行動をも持続的に成り立たせる「道理性」(reasonableness)とどのように接合しうるのかに関して論点を整理することができ、リベラリズムの立場をとった上での「共通善」の構想について展望を得ることができた。