表題番号:2019C-410 日付:2020/04/10
研究課題『解深密経』における肯定される無為と否定される有為・無為とに関する考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 飛田 康裕
研究成果概要
『解深密経』においては、《無為》が円成実相として肯定される一方で、「有為」「無為」が遍計所執相として否定されている。本研究では、この矛盾が如何に解釈されるかを考察し、以下を明らかとした。まず、認識の対象としては、「有為」「無為」から成る一切の事物に遍在する法無我性がまことの《無為》である。次に、この《無為》が分別によって捉えられるとき、「有為」のみに遍在する縁生自性として誤解され、語句の拠り所たる“有為法”や“無為法”として働く。なお、この縁生自性は敢えて“有為”とも言うことができる。そして、この依他起相を拠り所として個々の「有為」や「無為」などが名称によって仮に設定されるが、これが否定される。