表題番号:2019C-380 日付:2021/12/09
研究課題帝政初期ローマにおける帝位継承と過去の記憶
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 講師 福山 佑子
研究成果概要
本研究では、帝政初期ローマにおいて生じた帝位継承における「危機」が、いかに後代の皇帝にとって都合の良い形で歴史に織り込まれていったのかという問題から、古代ローマにおける集合的記憶の改変過程の解明を試みた。このような帝位をめぐる「危機」の後、皇帝や元老院はこのような事態を生じさせた「悪帝」の記憶を都合の良いように修正し、特に歴史書などの言論空間を通じて新たな歴史を構築している。そこで、この恣意的な集合的記憶の構築過程を、碑文史料に残された「危機」の時代の記録と、元老院議員等が記した歴史書における「危機」についての叙述の比較という視座から分析した。この研究成果の一部は書籍として刊行している。