表題番号:2019C-338 日付:2020/04/07
研究課題神経前駆細の形態形成におけるradmisの機能
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 榊原 伸一
研究成果概要
 哺乳類の胎生期中枢神経系では,幾つかのタイプの形態・分化能を備える神経幹細胞・神経前駆細胞(NSPCと略)が存在し,それらが連続的に現れ協調的に機能することで脳が形成される。これらの細胞の分裂のタイミングや回数は時空間的にコントロールされており,その細胞分裂周期の変調や破綻は脳の発生異常・小頭症などの脳奇形に至る。ヒトの遺伝性小頭症Filippi症候群の原因遺伝子radmisは,胎児期~成体脳の神経前駆細胞の分裂紡錘体極・中心体に局在し,中心体複製や紡錘体形成を制御することで神経前駆細胞の正常分裂進行に必須の機能を担うと推定される。radmis蛋白質は神経幹細胞系譜の放射状突起と分裂時の紡錘体極中心体に局在する。放射状突起中での発現分布を二重免疫蛍光染色法により比較した結果、radmisの分布は中間径フィラメントnestin vimentinの分布と一致していた。さらにRadmis強制発現により細胞内vimentin局在が変化し、異常な中間径フィラメント形成が誘導されることが示唆された。