表題番号:2019C-334 日付:2019/11/09
研究課題ボランティアによる認知症高齢者の「思い出ブック」が介護職にもたらす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 加瀬 裕子
(連携研究者) 人間総合研究センター 招聘研究員 山村正子
研究成果概要

 本研究の目的は、一般学生と地域住民ボランティアが、認知症患者の昔の懐かしい写真についての話を聴き、その内容を言語化・可視化した「思い出ブック」を作成し、その「思い出ブック」が認知症患者介護に関わる専門職の認知症患者理解にどのような効果をもたらすかについて検証することである。

認知症患者の尊厳を保つパーソンセンタードケアでは、認知症に罹患する以前の本人の本来の姿を理解することが基本であるが、介護の現場では、限られた時間の中で業務をこなさなければならず、認知症患者本人の罹患以前の情報を、認知症患者とのコミュニケーションの中から得ることは非常に困難であるといえる。「思い出ブック」がその情報を介護スタッフに提供できることの意義は大きい。

また、超高齢社会において、認知症高齢者に対する一般住民のボランティア活動が専門職の認知症理解に寄与することを示すことは、厚労省が提唱する「地域包括ケアシステム」に対して一つのモデルであるが、その可能性を探索的に研究した。