表題番号:2019C-326 日付:2020/05/23
研究課題「人間の搭」(Castells)の担い手の身体性に着目した文化人類学的な研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 竹中 宏子
研究成果概要
  カタルーニャの伝統文化として理解される「人間の塔」は、人が肩の上に乗る形で積み上がり、高いものでは10mにも及ぶパフォーマンスである。理論的にはそれだけ高い塔を建てられるはずがなく、したがって「なぜ塔が建つのか」は問題となる。本研究では、身体性の獲得に着目しながら、人類学的なフィールドワークを基に、塔を成功させる要素を抽出することを目的としている。
 2019年度行われた2回の現地調査を基に、技術的のみならず、人間の塔チームというアソシエーションの成員として社会的に獲得される身体性が塔の成功の鍵であることを考察した。技術的には、一人一人が練習を通じて技術を獲得し、そうした人間というパーツを組み合わせる更なる技術によって塔の成功/不成功が決まることを把握した。社会的には、新規参加者が正式メンバーになる過程で、チームにアイデンティティを抱かせる仕掛けが用意されていて、それに乗ることによってチームのあり方が身体化されていく様相を考察した。