表題番号:2019C-307 日付:2020/04/09
研究課題知的財産権と新産業勃興の進化経済学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 土門 晃二
研究成果概要
 本研究では、コピー商品と正規品、およびコピーが不可能な正規品の二次的サービスから形成される市場において、各財・サービスの与える外部性が最適な取締レベルに与える影響について、理論的に分析した。ミュージシャンのライブ活動などが該当する二次的サービスが存在する場合、知的財産権所有者にとって、このサービス市場の大きさが結果に決定的な影響を与えることを証明した。二次的サービス市場が正規品市場よりも大きい場合、取締りをしないことが権利保有者の利益を最大にし、相対的に小さい場合には厳しい取り締まりが有利である。理論モデルの結果の重要性は、権利保有者に最適な取締レベルは、完全化またはなしであり、その中間は存在しないことにある。
 以上の結果は、知的財産権の存在意義を考える場合に大きな意味を持つ。権利保有者は、常に取締強化を訴えることは有利ではなく、また実際に存在する権利放棄者の行動が理論的に正当化される。