表題番号:2019C-241 日付:2020/04/13
研究課題チリの医療職専門教育における地域指向型カリキュラムの提案に向けた人類学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 准教授 内藤 順子
研究成果概要

本研究は、チリにおけるリハビリテーション専門職教育について、地域指向性を重視したシステムに構築しなおすことを目的とする実践的調査研究の、一端を担う。リハビリテーション(以下、リハ)とは医療機関での診療で完結するものではなく、むしろ日常的な継続を必要とするが、地域生活には継続を阻害する要因も多い。専門職者はそうした問題への対応力が求められるものの、チリにおける従来のリハ専門職教育は、医療機関での診療を前提とした病院主体カリキュラムとなっている。高齢社会にむかうチリでよりいっそう地域主体のリハが望まれるいま、地域指向性をもつ専門職者とそれを育てるシステムつまり地域指向性教育の導入は急務である。

そこで本研究では、研究期間と資金額に鑑み、このカリキュラムのパイロットモデルの考案に必要なフィールド科学的視点からの調査のうち、人的・物的資源の有無と利用可能性についての調査を実施する計画であった。そのための準備としてチリ国立ペドロ・アギレ・セルダ・リハビリテーション研究所理学療法士および地域リハ推進室、チリサント・トマス大学とともにオンラインでの会合を実施して年度末のチリ渡航にむけて準備をすすめていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により急遽渡航を中止せざるを得なくなった。渡航先がチリであり、その段階では研究費の繰り越し不可であったため、これまで蓄積してきた動画及び画像資料等保存と、オンラインでの会議を実施するための端末モバイルPC購入費用に充てた。

計画は順調に進んでおり、渡航調査において対面でのカリキュラムの詰め作業および対象となる学生や地域の専門職者への聞き取りを実施しラポールを築く予定であったので、コロナ収束後にそれを実現する考えである。