表題番号:2019C-185 日付:2020/10/21
研究課題高信頼性, 高安全性を有する高速な分散処理システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 松嶋 敏泰
研究成果概要
近年,個人情報を含むビッグデータが増え,そのようなデータを処理するシステムが求められている.その際,データを盗聴者から安全に保護しつつ処理するという安全性,高速に処理を行うという計算処理時間,処理の際に誤りが起こっても正確に処理できるという信頼性,という3つの評価基準が重要になる.従来は,データを分散してから処理することにより,いずれかの評価基準において良くなるようなシステムが研究されてきた.例えば,データを複数のサーバに分散し並列処理を行うことで高速に信頼性の高い処理を行うというcoded computationや,データを複数のストレージに分散することで安全に保護するという分散ストレージがある.これらは,数理モデルを定式化することで厳密に議論されてきた.しかし,すべての評価基準を考慮に入れたシステムに関しては,現在十分な研究があるとは言えない.本研究は,coded computation に分散ストレージに関する理論を取り入れることで,高信頼,高安全性を有する高速な分散処理システムの理論を確立を目指した.具体的には,単純に組み合わせるのではなくシステム全体について厳密に議論するため,システム全体の数理モデルを定式化し,性能の評価基準を明確に定義し,その下で性能の理論限界を導出し,それを達成するシステムを構築した.