表題番号:2019C-182 日付:2020/04/07
研究課題流体力学の近代数学解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 小薗 英雄
研究成果概要

1. 時間方向にLorentz 空間を採用した最大正則性定理によるNavier-Stoes方程式の強解

最大正則性定理において,基礎となるBanach空間として斉次Besov空間$ B^s_{p, γ}と取り,時間区(0, T) における可積分空間としてはLorentz 空間L^{α, q}(0, T) を採用した.すなわち,L^{α, q}(0, T; B^s_{p, γ})なるBochner時空間の最大正則定理の基礎空間として,熱方程式初期値問題を考察した.初期値 属する斉次Besov空間 B^k_{r, q} としては,k= 2+n/r -(2/α+ n/p - s), n/p <n/r <α/2 + n/pなる関係式が自然であることを証明した.

2. 境界が時間に依存する外部領域におけるStokes 方程式に関する最大正則性定理とそのNavier-Stokes方程式への応用

3次元空間内のおけるコンパクトな曲面が時間に依存して動く時,その外部領域であるを非柱状時空間領域において,Stokes方程式に対する時間大域的なL^p-最大正則性定理を証明した.ただし,$1< q < 3/2$ である.応用として,非柱状時空間領域がある固定された柱状領域に十分近いとき,小さなデータに対するNavier-Stokes 方程式の古典解の一意的存在を証明した.

3.尺度不変な斉次Besov空間における定常Navier-Stokes 方程式の解の存在と正則性

n次元空間において,与えられた外力が斉次ベゾフ空間 B^{-3+ n/p}_{p, q}$ で十分小さければ,B^{-1+n/p}_{p, q}に属する定常Navier-Stokes 方程式の解が一意的に存在することを証明した.ただし,$1 <p < n,  1 < q < ∞ である.応用として,定常Navier-Stokes 方程式に対する自己相似解が得られる.