表題番号:2019C-176 日付:2020/04/11
研究課題非平衡熱力学の幾何学とディラック力学系への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 吉村 浩明
研究成果概要
本研究では,これまでに,非平衡熱力学的な法則を定めるStueckelbergの公理に基づき,局所平衡条件の仮定から系全体の態を質点の位置と速度で表される態変数と各時刻で局所的な平衡にある熱力学的変数としてエントロピーを定め,閉鎖系の変分的定式化を提案している.本年度は,特に,外界とシステムの間で物質や熱の移動が存在する非平衡熱力学的開放系について考察を行い,時間依存の非ホロノミック系の枠組みで変分的定式化が可能であること,また,系の一般化ラグランジアンを導入し,時間の空間を含む熱力学的状態空間上のディラック構造による枠組みを考察した.その結果,一つのエントロピーで熱力学的状態を表せる単純開放系の場合においても,ディラック多様体が存在することを示すことに成功した.さらに,それに基づく時間依存のディラック力学系の枠組みで単純開放的な非平衡熱力学系の定式化に成功した.