表題番号:2019C-141 日付:2020/04/01
研究課題中世スコラ哲学の徳倫理学からの現代徳倫理学への批判的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 辻内 宣博
研究成果概要
 アリストテレスは,倫理学と政治学を相互に連関するものと想定する。つまり,「道徳的な政治学(Moral Politics)」である。というのも,徳倫理学は「徳」という性格特性を中心として倫理的な事柄を分析するが,他方で「徳」の内実は,社会共同体の価値規範や法が核となって決定されるからである。
 そこで,アリストテレスを受容した中世スコラ学者であるトマス・アクィナスとジャン・ビュリダンにおいて,政治学と倫理学の連関に関する理論的枠組みの抽出を行い,その結果,アクィナスにおいては「合理性」を基軸に据える体系的な関係性が,他方,ビュリダンにおいては「市民的コミュニケーション」を基軸に据える現実的で実際的な関係性が導出された。