表題番号:2019C-140
日付:2020/04/04
研究課題アンセルムスのベネディクトゥス『戒律』理解と実践
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学学術院 商学部 | 教授 | 矢内 義顯 |
- 研究成果概要
- アンセルムスの主要概念である「直しさ」ないし「義」は,ベネディクトゥスの『戒律』における「従順」(oboedientia)を神学的に深化したものといえる。彼にとって意志の直しさである義とは、神の意志を,理性によって理解,判断し,その命令に従って,自由選択の力を行使することで,意志が意志すべきことを,意志すべきことのために,意志するということになる。不義とはこの逆のことであり,罪とはすべて,理性的な霊魂の意志のうちにあることになる。こうしてみると,彼の「従順」の定義,すなわち「真の純一な従順とは,理性的な被造物が,必然性によらず,神から受け取った意志を自発的に保持すること」 は,義を言い換えたものに他ならない