表題番号:2019C-115 日付:2023/11/13
研究課題地方都市中心市街地における空きビル・空き店舗の利活用に関する地理学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 箸本 健二
研究成果概要
 本研究では、科研費基盤B「地方都市における未利用不動産の実態分析と行政の政策的対応に関する地理学的研究」を得て2014年に実施した全国調査「中心市街地における空きビル・低・未利用不動産とまちづくり政策に関する調査」(回収数553自治体)を再集計し、主に中心市街地の事業用ビル利活用の阻害要因に焦点を絞って検討を行った。
 検討の結果、①空きビルでは参入事業者の不足や複雑な権利関係、空き店舗では店舗の住居化や高い家賃設定、そして空き公共施設では自治体の財源不足が、それぞれ阻害理由の上位を占めること、②とりわけ地方都市の場合は、耐震補強を含む建物の老朽化を指摘する割合が3タイプの空き不動産すべてで三大都市圏都市よりも高いこと、③こうした問題に対して、地方自治体の6割以上が対策を講じられていないこと、などを明らかにした。
 その上で、中心市街地の空き不動産を再生し、そこに新たな都市機能を誘導できれば、地方都市の社会的・経済的な循環を蘇生し、都市の持続性の回復に結びつく。こうした観点から、地方都市は中心市街地の空き不動産を潜在的な資源と位置づけ、その利活用を念頭に置いた新たな都市政策を創造する必要があることを指摘した。