表題番号:2019C-106 日付:2020/09/17
研究課題古代日本語述語体系の動態的把握-テンスとムードに関わる形式を中心に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 仁科 明
研究成果概要
本課題では、以下の三点を目標として研究をすすめた。

1)古代語の過去・回想形式である「き」と「けり」の用法の検討を行ない、両者のすみわけを解明する。
2)上代から中古にかけての「らむ」の用法の検討を通して、文法形式の用法のあり方の背景にある要因のさまざまを解明する。
3)上代の広義希望表現(希望・願望・意志・意向・命令・禁止などの総称=「希求(けぐ)」とも)形式のさまざまについて検討し、文次元の意味のあり方の実現の多様性を確認する。

 1)に関して調査の過程で事前の見通しへの修正の必要が生じたこと、3)に関する基礎作業に想像以上に時間をとられたこと、によって、1)~3)の研究課題のいずれについても、今年度中の成果の公表にはいたらなかった。が、3つの課題のそれぞれについて、事実と知見を積み重ねることができたと考えている。とくに2)については、さらにブラッシュアップの上で論文化したいと考えている。