表題番号:2019C-102
日付:2020/06/01
研究課題漱石文学の内面記述における「ジェンダー・トラブル」に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 石原 千秋 |
- 研究成果概要
女性の内面を書くことは、当時の男性作家にとって至難の業だったと思われる。たとえば、夏目漱石が『道草』や『明暗』において「女性」を「男性」として書くことでかろうじて女性の内面を書くことができたことを、文学上の「ジェンダー・トラブル」(ジュディス・バトラーが提案した概念だが、本研究では「文学上の性と体の不一致」という意味に用いる)という「事件」と呼びたい。それが可能になったのは、『明暗』執筆時期に午前中に小説を書き、午後に監視を書いたことにありはしないか。すなわち、午前中に漱石は女性作家として書き、午後には男性の漢詩人になっていたのではないだろうか。