表題番号:2019C-095 日付:2020/03/31
研究課題イギリス帝国における植民地行政文書の保管と破棄の「現場」
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 准教授 佐藤 尚平
研究成果概要

第二次世界大戦後、日本やヨーロッパの諸帝国が世界各地から撤退した時、都合の悪い過去の記録がおそらく大量に処分されただろうということは想像にかたくない。しかし一体いつ、どれほどの規模で、どのように文書の隠蔽が行われたのかについては、謎が多い。そのような中、近年、例外的とも言える隠蔽の証拠が発見された。イギリスが20世紀中葉から後半にかけて世界37植民地で隠蔽したはずの文書群が、2011年にロンドン郊外で発見されたのである。報告者は、この「存在しないはず」の新出史料を使用して、イギリス帝国による文書隠蔽国策を、特に文書管理の作成・管理・利用・破棄の生々しい「現場」を伝える歴史的に稀有な事例として位置付けた。