表題番号:2019C-062 日付:2020/05/31
研究課題「日本のテレビドラマにおける多様性の表象に関する考察」
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 岡室 美奈子
研究成果概要

性的マイノリティを主軸に置いた近年のドラマの中には良質な作品もあるものの、その異質性を際立たせたり、一つの「ブーム」として消費するような表現も散見される。むしろ問題は、そうしたテーマを取り上げることで、制作者側にも視聴者側にも、異性愛を一般的な「規範」「標準」とする従来の価値観を実は温存しつつ、あたかも性的マイノリティを社会的に認知したかのような錯覚を生じさせる点にあると言える。 逆に、性的マイノリティをドラマの一部として取り上げる作品の中には、脚本家ら作り手の、多様性を受容し自らの問題として引き受ける思想が垣間見えるものが見られ、それらは、無意識的な差別や偏見に対する批評として機能しうる。