表題番号:2019C-057 日付:2021/01/06
研究課題人文主義の基盤として古代後期ギリシア・ラテン語詩文
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 宮城 徳也
研究成果概要
2019年度の特定課題研究に採用され,その研究費によって,9月に一週間ローマに出張し,古代遺跡を訪ね,古代遺産を多く収蔵する博物館,美術館を訪ねることができt.さらに,中世,ルネサンス,バロックの遺産が残っている相当数の教会を拝観して,ヨーロッパ的教養を支える人文主義が,古代ギリシャ,ローマの伝統を基盤として形成されていることを改めて確認することができた.12月に名古屋大学西洋古典研究会で古代後期の詩人クラウディアヌスの名で伝わりながら真作とは認められていない祝婚歌と,やはり古代後期ではるがクラウディアヌス先行する修辞家メナンドロスの名で伝わる修辞学書に見られる婚礼におけるスピーチの論考を比較考察した研究発表を行った際に,古代のフレスコ画装飾,陶器画,建築構造に関する知見をその中に反映することができた,特にパラティーノの丘遺跡で,皇帝アウグストゥスと皇后リウィアのそれぞれの屋敷を見学し,フレスコ画装飾を細かく観ることができ,フォロ・ロマーノに遺る古代後期から続くサンタ・マリーア・アンティークァ教会を拝観して,ヨーロッパ文化を貫く人文主義的伝統が,もともと外来の文化に淵源を持つキリスト教においてすら,極めて重要な要素であることを確認できた.テヴェレ川河畔で発掘された古代邸宅のフレスコ画装飾,床モザイクを観たことも,有意義な経験だった.古代から続くローマの町を古代的要素を確認しながら,自分の足で歩き,四つの主要な考古学博物館,ヴァティカンの諸博物館を観ることができ,研究に役立つ知見を得ることができた.