表題番号:2019C-030 日付:2020/04/13
研究課題労働立法過程の変容とその影響に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 大木 正俊
研究成果概要
 本年度は日本の労働立法過程の(1)変容および(2)正当性を検討した。
 (1)については、戦後より三者構成を通じた立法が行われてきたが、90年代以降は労働立法の具体的作業にあたる官庁の外部からの圧力をうけて、公労使による一致が十分にみられないまま立法が進められることが起きた。現在もその延長にあると考えられる。
 (2)については、三者構成方式は、欧州諸国と同様基本的には労使合意に正統性があると考えられる。ただし、欧州諸国と同様日本でも組合の代表性が疑われており、三者構成原則は正統性においてもゆらいでいる。他方、労使合意の機能はまだ必要であり、三者構成の否定ではなく、いかに現代的な正統性を付与するかが今後の課題となる。