表題番号:2018S-181 日付:2019/04/06
研究課題中世神道の源流に関する一考察ー大嘗祭と鎮魂祭を手掛かりとしてー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 准教授 トレンソン スティーブン
研究成果概要
本研究では鎮魂祭(大嘗祭)を中心に中世の密教と神道の交渉について考究した。古代の大嘗祭では稲の霊魂が重要視されていたようである。また、一説では大嘗祭で天皇霊が新しい生命力を浴びるとされている。中世には、神道の鎮魂祭が陰陽道の招魂祭とほぼ同じような機能を果たしていたが、招魂祭は密教の招魂延命法とも関係を結んでいた。それらの儀礼では人から遊離する魂を呼び戻すことによってその人の息災延命が祈願されていたが、いずれの儀礼でも「衣」と「米」が重要な要素であった。特に、招魂祭において衣に米の嚢が附けられていたことは興味深い。「米」を軸として上記の三つの儀礼が思想的に繋がれていたと推察されるのである。